さて、振り返り記事はこれで最後にしますが、『架空の箱庭療法』はこんなふうにして作られていました。いわゆるメイキングですね。
架空の芝居に必要なものは架空の稽古。イメージプロットと配役表を役者に渡し、そこから各々が「想像」した人物像と衣装案を持ち寄り、ほぼぶっつけ本番でエチュードを展開。それをカメラマンの奥山郁さんがひたすら連写しつづけるというもの。全10作品を仕上げるのに稽古期間はわずか3日間、総撮影枚数は約3500枚超。改めて考えると恐ろしい労力です。ばかだと言われても返す言葉もないが、しかし、それゆえに凝縮された密度の高い空間がそこに生まれたのだと、僕は信じたい。